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試合中、「聞こえていた声」が聞こえなくなる理由

2026.07.16

皆さん、こんばんは!

今回は格闘技関係者向けになってりまいますが、
試合が終わったあと、「セコンドの声、聞こえてた?」という問いに対して

「全然聞こえていませんでした。」という答えをした方、または答えが返ってきた。

という経験はないでしょうか。


実はこれ、珍しいことではありません。
緊張やプレッシャーがかかる場面では、脳は情報の受け取り方そのものを変えています。

◆ 脳はすべての情報を処理しているわけではない

私たちは普段、

▼相手の動き
▼セコンドの声
▼会場の音
▼自分の呼吸

など、多くの情報を同時に受け取っています。

しかし脳は、そのすべてを同じように処理しているわけではありません。
必要だと判断した情報を優先し、それ以外は意識に上がりにくくする仕組みがあります。

これは「選択的注意」と呼ばれ、限られた脳の処理能力を効率よく使うための重要な働きです。

◆ 緊張すると、その選択が極端になる

試合では交感神経が優位になり、体は戦う準備に入ります。

すると脳は、「今、一番重要なものは何か」を素早く判断しようとします。

その結果、目の前の相手や攻防に注意が集中し、周囲の情報が入りにくくなることがあります。

以前の記事で紹介した「注意の狭窄」も、この状態の一つです。
視野だけではありません。

耳から入る情報も、必要性が低いと判断されると処理されにくくなることがあります。

◆ 「聞こえなかった」は、集中していた証拠でもある

セコンドとしては、「聞いてほしかった」
と思うかもしれません。

でも選手側からすると、聞こうとして聞こえなかった。
そんなケースも少なくありません。

それだけ目の前の状況に集中していた、とも言えます。

もちろん、必要な指示が入らないのは課題になります。

しかし、それを「集中力がない」と考えるのではなく、脳の仕組みとして理解することも大切です。

◆ 本番で強い人は「情報を受け取る準備」をしている

トップレベルの選手でも、緊張はします。

違いは、
「緊張しないこと」ではなく、「緊張した状態でも必要な情報を受け取れる工夫」をしていることです。

例えば、
▼短くシンプルな声かけ。
▼事前に決めておいたキーワード。
▼一言で意図が伝わる合図。

こうした工夫は、情報が限られる本番だからこそ効果を発揮します。

◆ 試合だけではない

この現象は競技だけではありません。

一般の方だと
▼大事なプレゼン。
▼面接。
▼人前で話す場面。

強いプレッシャーを感じる状況では、「何を言われたか覚えていない」という経験をすることがあります。

これも、脳が重要な情報を優先しようとした結果なのです。

◆ まとめ

試合中にセコンドの声が聞こえなくなる。

それは、集中力が足りないからではありません。

緊張によって脳が情報を選び、必要だと判断したものへ注意を集中させているからです。

だからこそ、本番では、
情報を増やすことよりも、「何を伝えるか」を絞ることが大切になります。

強い人は、すべての情報を受け取っている人ではありません。

限られた情報の中から、本当に必要なものを活かせる人なのかもしれません。

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