

2025.11.20
皆さん、こんばんは!
11月も後半にさしかかり、今年もあと1ヶ月とちょっとですね。
今年はやり残しなどなかったでしょうか?
今日は「なぜ私たちは選ぶだけで消耗するのか」についてお話ししたいと思います。
私たちは、思っている以上に多くのことを「決断」しながら生きています。
何を着るか
何を食べるか
どの作業から始めるか
どんな返信をするか
どういう言葉を選ぶか
一つひとつは小さな判断でも、それが一日に何百回と積み重なる。
そして多くの場合、この「決断」が、集中力や意欲を静かに削っていきます。
心理学や行動科学の分野では、
意思決定は認知資源と呼ばれる脳のエネルギーを消費する行為だとされています。
これは筋肉と似ています。
使えば使うほど疲労し、判断の質が落ちていく。
これがいわゆる「決断疲れ」あるいは「意思決定疲労」と呼ばれる現象です。
有名な研究では、裁判官の判決データを分析すると、
休憩の後ほど寛大な判断が増え、時間が経つにつれて判断が機械的・保守的になる傾向が報告されています。
つまり、疲れると人は無意識に「考えなくて済む選択」に流れやすくなるのです
決断疲れが蓄積すると、次のような状態になりやすくなります。
・どうでもいい選択に時間がかかる
・決めたあとに後悔が増える
・先延ばしが増える
・甘いものや刺激的なものに流れやすくなる
・判断を他人や環境に委ねたくなる
これは意志が弱くなったわけではなく、
単純に「判断するエネルギー」が枯れてきているだけです。
疲れた状態では、
山登りの判断も、夕飯メニューの判断も、
実は同じ回路を通っているというのが、面白いところです。
選択肢が多いと自由なように感じますが、
実際にはその分だけ決断コストが上がります。
選ぶたびに脳は
「他の可能性を捨てる」
という作業も同時に行っています。
つまり選択とは、同時に小さな喪失でもある。
だから選択肢が多すぎると、人は選ぶこと自体に疲れてしまうのです。
これが「選ぼうとするほど迷う」感覚の正体です。
ここで大切なのは、
「決断力を鍛える」というより
「決断力を消耗しにくくする」という発想です。
決断力は筋力よりもバッテリーに近い。
使えば減り、休めば回復するもの。
だから大事なのは
どこにそのバッテリーを使うかを、自分で選ぶことです。
小さなことは「決めない」
重要なことにだけ「決断を残しておく」
という考え方も、実はとても合理的なんです。
決断がしんどい日があるのは、
あなたの気持ちが弱いからではありません。
ただ、その日はすでに
たくさんの決断を重ねてきただけかもしれない。
選ぶことは力を使う行為。
だからこそ、ときには
「選ばないという選択」も必要なのだと思います。
決断疲れに気づくことは、
自分の脳をいたわる第一歩です。