2021.05.31
5月20日にプロテストに合格し、5月28日にプロデビューを果たした山下奈々選手!
試合の結果は2R TKO勝ちでした🥊
ニックさんは見かけによらず、お酒もタバコもせず、マネージャーから見ても仕事と短時間の食事、あとは勉強にしか使っていないのではと思います。
オンラインサロンの文章を送る時や、連絡も基本的には深夜です。
人がお酒を飲んで楽しんでいる時間に「勉強」をする人です。
一度、どうやって勉強をするのか聞いたことがあります。
本もノートもペンも必要ないそうです。
勉強の概念がそもそも覆る勉強を毎日しています。
睡眠時間が心配ですが、そんなニックさんが愛弟子の試合当日の早朝4:28に(寝れなかったのでしょうか。。)送ってきた愛弟子との歴史についてを是非ご覧ください💡
山下と出会ったのは、以前働いていた職場でした。
趣味でボクシングをしていると聞き、冗談半分で「プロになるか?」と聞いたら、即答で「なります。」と言ってきました。
驚いて「本当に?じゃあ一緒にプロになろう。」って答えた気がします。
自分は格闘技のチャンピオンを30人以上指導してきましたが、最初から育てた選手が1人もいなかったので、正直面白くなかったです。
自分はボクシング未経験者ですが、ボクシングを教えていました。
固定概念が無い方だと自分では思っているので、ボクシング経験者より良い指導が出来ると思ってました。
そんな時に出会ったのが山下です。
最初に伝えたのは、「自分はボクシング未経験者だけど、山下を日本もしくは東洋太平洋のチャンピオンにする自信はある。ただ、世界チャンピオンにする自信は微妙。だから、自分の言いなりになるのでは無く、山下もボクシングの勉強をして欲しい。それで一緒に良いボクシングを作れたら、一緒に世界チャンピオンにまでいけると思う。」と伝えました。
トレーナーとしては微妙かもしれないけど、嘘を付きたくなかった。だってボクシングの世界チャンピオンを育てた事がないですからね。
それから練習を始めました。
まずは、フットワークの前の練習である、縄跳びを30〜90分。
跳び方は右右左左→右右右左左左。床に着いて良いのは片足だけ。
その後、前後のフットワークを何種類かを2時間くらい。
慣れてきたらジャブを出しながら。
たまにサンドバッグもやりましたが、ジャブだけ。
揺れるサンドバッグで前後のフットワークをしながら、ロングのジャブをインステップとバッグステップでジャブを出す。
下がりながらパンチが打てる選手が少ないので、出来る様にしときたかった。
これを2〜3ヵ月間。
ひたすらフットワークとジャブだけ。
趣味でやってた時は、前に歩きながら短いジャブと右フックって感じのスタイルだったので、最初は、パンチをもらい辛いアウトボクシングをやらせようと思いました。
徹底的に基礎をやりたいと伝えたので、面白く無いよ。でも3年後に強くなってるから信じて続けてね。って言い続けました。
この時に自分の中で決めてたのは、世界チャンピオンとスパーリングをやらせてもらって、勝てるようになったらデビューさせる。と決めてました。
本人には伝えませんでしたけど。気が遠くなってやる気が出なくなると困るので。
それは今でも伝えて無いです。
3ヵ月くらいしてからストレートを教えました。
みんなに驚かれるのですが、フットワークをバランス良く出来る様になると、勝手にストレートが綺麗になるんです。
重心の位置が決まるとバランスが良くなってフットワークが軽くなります。同時に骨盤の回旋動作がスムーズになるので、伸びるストレートが打てるようになります。
最初に比べてストレートのパンチ力が付いてます。ストレートの練習をしてないのに。
ここから1年くらいはジャブとストレートとフットワークだけです。
この期間にキックの選手とボクシングスパーを少しずつ入れました。
ジャブとストレートのみでプロ相手のスパーリングは、山下からしたら苦行だったと思います。結構ボコボコにされたので。
でも、やっていくうちに圧倒するようになってきました。
圧倒した時もインステップとバッグステップ、ジャブとストレートだけです。
このくらいまでは、ほとんど公園や駐車場、雨の日はトンネルで練習していました。
自分が職場を辞めたので練習場所がありませんでした。
それからサイドの動きを教えました。
最初から、1年半くらいですね。
そこで初めてプロボクサーとのスパーリングです。
プロボクサー相手にジャブとストレートとステップだけです。
結果は、圧勝しました。
触られずに当てるボクシングが身に付いてきました。
スパーリングの相手のセコンドには、自分が好きだった元世界チャンピオンの畑山会長でした。
自分はそれに緊張していました。
畑山会長が、「うちは女子をあまりやる気がないけど、この子(山下)なら欲しいなぁ。」と言ってくれました。
「普段どこで練習してるの?」と聞かれ「公園です。」と答えたのが、ちょっと恥ずかしかった。
「公園!!!!」
そりゃそうだ。
場所が用意できないのは、トレーナーとして恥ずかしかった。
そのタイミングでパーソナルトレーニングの指導場所として使わせて頂いてる。成増トレーニングセンターの堀井会長が空いてるスペースでミットやって良いと言ってくれました。
とりあえず、青空ボクシングからは逃れて、室内で練習が出来るようになりました。
プロボクサーに勝てるようにまでなると、今度は早くデビューしたいと思うのが普通です。
まあ、そうですよね。
ここからが大変でした。
高学歴の山下は、親の期待に反してプロボクシングを目指します。
親との約束は2年で結果が出なければ就職しろ。
日本のプロボクシングは、ボクシング協会加盟ジムに所属しなければ試合が出来ません。
自分がその時に思ったのが、所属したら試合をしなければいけなくなる。そこそこ強くなってきたので所属したら、すぐにデビューすることになる。
メンタルの弱い山下に黒星を付けさせたくなかった。
このタイミングで、「デビューしたいので、ジムに所属したい」と言ってきました。
この時が来たか。
わかったと言いつつ時間を伸ばそう。
現所属ジムのリブートジムの休館日(わざと)に一緒に言って、今日はジム休みだったね。また今度ね。
数回休館日を調べて行きました。
1年伸ばしました。
早く強くさせなければ。と焦りまくりでした。
何故デビューさせたくなかったというと、女子ボクシングは人数が少ないので、早くて4戦や5戦でタイトルマッチが出来る可能性があるのです。
なのでしっかり勝てるようになるまでは、デビューさせたくなかったのです。
そして、最初から2年半くらい経って当時の現役世界チャンピオンとスパーリングが出来る事になりました。
内容は、攻めてくるチャンピオンに対して下がりながらカウンターを合わせたり、距離を作って戦って内容では勝ってました。
2週連続でやって両方良い内容でしたので、ここで初めてデビューさせよう。と決めました。
それから半年くらい経ちましたが、どんどん成長しています。